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2013年11月12日

釣りに行きたくて、行きたくて…。


海はいいですナ。(山も好きですけど…。)
スワ~、さらさらさら~。時に静かな潮騒は、揺りかごになりますから。

―釣りがしたい。
―あー、釣りがしたい。

のんびりと糸を垂らしたい…。遠くを見つめていたい。



私が、良く釣りをしていた港や岩場、河口などは、ほとんど津波の被害にあってしまい
あの日以来、釣りには行ってない。太公望は、まったく元気が無い。

石巻市の東部にある牡鹿半島には、とても小さく美しい漁港がいくつもある。
伊達政宗の命で支倉常長一行らを乗せた木造帆船「サン・ファン・バウティスタ」が、ローマに船出した出帆の地、『月浦漁港』もその一つ。
その漁港に入る直前の小高い丘から望む雄大な太平洋に、支倉氏は彼の地へ旅立つ前、

何を思ったのだろう。


その隣の漁港も『桃浦』といって、山から豊かできれいな沢が流れ込む。その純水に牡蠣が肥える。


他にもまだあるが、紹介しきれない。なんといっても、ここは山と海、漁港のたたずまいが良い。
その漁港だけでも沢山の種類のサカナが釣れる。一度、アジ、サバの群れが漁港に入ってきて、それはお祭り状態になった事もある。(ワカシといって、ブリの幼魚も釣れた。)


『おおおっ、引いてるぞ。きたっ、うわっ、でかいぞっ。』

『アミだ!網を用意してくれっ。』

『無いのか…。よし、わかった海に飛び込でやる。』


ビール瓶のような黄金色のアイナメが釣れた。お腹に子供(卵)を抱いていた。
(私はロクデナシだけど、ヒトデナシではないので、海へ返した。)


震災後一度、気がかりで見に行った。想像をはるかに超えた変わりようだった。

海の景色、オカの景色があまりにも違いすぎた。
思い出の景色、現実の景色が違いすぎた。

何も出来ない自分に情けなくて、涙が止まらない帰り路になった。



今年もあと1ヶ月余り。寒い…と思ったら初雪になったそうだ。季節、急いでいるのかい。
齢だけ重ねて釣りにもいけない忙しい日々を送っている。


―良くないなー、心が亡くなる…と云うではないか。



宿泊課 遠藤剛志


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