山王美術館

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エドヴァルド・ムンク Edvard Munch
1863-1944

ノルウェーに生まれ、同地にて没
クリスチャニア(現・オスロ)の王立美術工芸学校にて学び、前衛芸術家グループに参加。1889年にパリに留学し、フランス近代絵画の影響を受ける。1892年にベルリン芸術家協会に招かれドイツで個展を開催するが、その独創性が物議を醸し、短期間で展示中止となる。この出来事により画家の名が広まり、ヨーロッパ各地での活動の場が広がった。1908年に神経症を病みコペンハーゲンの病院で療養。回復後はノルウェーに帰還し、1909年から1916年にかけ、クリスチャニア大学(現・オスロ大学)の講堂を飾る《太陽》を中心とした壁画を手掛けた。連作「生命のフリーズ」に代表される、人間の生と死、嫉妬や不安、孤独といったテーマを描き、同じモティーフを絵画、木版画、エッチングなどで繰り返し扱う、独自の画風を確立した。
 

エドヴァルド・ムンク《岩場の上の水浴者たち》1915年

岩場の上の水浴者たち

1915年
油彩、カンヴァス
63.5×87.0㎝

Bathers on Rocks

1915
Oil on canvas
63.5×87.0㎝

代表作《叫び》で知られるエドヴァルド・ムンク。1909年、精神の衰弱から回復し故郷のノルウェーに帰還したムンクは、翌年、より良い制作条件を求め、オスロ・フィヨルドの東海岸にある町、ヴィトステーンの農地を購入しました。1915年、ムンクはクリスチャニア大学(現・オスロ大学)創立100周年を記念する講堂壁画制作のため、春から夏にかけてこの地に滞在します。19世紀末頃から夏の休暇地として賑わうこの町で、ムンクは壁画制作のかたわら、自然の風景やビーチで水浴びや日光浴をする人々をたびたび描きました。1916年に完成した講堂壁画(通称「オーラ」)は太陽、歴史、自然の豊穣をテーマに11の場面から構成され、自然と人間の知性の調和がダイナミックに描かれています。この作品《岩場の上の水浴者たち》でも、従来のムンクの代表作に想起される病や死、孤独といったテーマとは対照的に、太陽の光のもと、平等で健康的で、生き生きとした生命を賛歌する、もう一つのムンクの姿を見出すことができます。