山王美術館

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小林 古径 Kobayashi Kokei
1883-1957

新潟県に生まれ、東京にて没。
本名は茂。
12歳から青木香葩に学び、秋香と号す。1899年に上京して梶田半古の画塾に入門し、古径の号を与えられる。日本美術院と日本絵画協会共催の共進会展に出品し受賞を重ねる。1907年には半古に推され塾頭となる。また1910年には歴史画研究を目的に今村紫紅、安田靫彦らが結成した紅児会に加わる。日本美術院再興に参加。1914年の再興第1回院展に入選し、同人に推挙される。以降、横山大観、前田青邨らとともに日本美術院の中心的画家として活躍する。1922年日本美術院留学生として西洋美術研究のために青邨らとともに渡欧。大英博物館では中国・東晋時代の「女史箴図巻」を模写する。大和絵・琳派をふくむ東洋古典の精神を研究し、伝統に立脚しながらも近代的な造形を求めた「新古典主義」とも称される画風を確立した。

小林古径《琴》1929年、山王美術館蔵

1929年
紙本彩色
左隻:165.0×178.2㎝、右隻:165.0×178.0㎝

Koto

1929
Color on paper
Left:165.0×178.2㎝、Right:165.0×178.0㎝

1929年の再興第16回日本美術院展覧会に出品され注目を集めた本作。琴を前に華やかな和装に身を包んだ二人の若い女性が、二曲一双の屏風に描かれています。左隻は俯きかげんで琴の調子を合わせている姿、右隻は今まさに弾琴にはいろうとする姿です。琴を弾く女性の姿はこれまでも多くの作家によって描かれていますが、古径は単なる風俗画に陥りやすいこの画題を線描、色彩ともに細密かつ端正に表現することで、古径独自の雅やかさと緊張感漂う作品へと昇華しています。

小林古径《琴》左隻1929年、山王美術館蔵

《琴》左隻

小林古径《琴》右隻1929年、山王美術館蔵

《琴》右隻