山王美術館

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橋本 関雪 Hashimoto Kansetsu
1883-1945

神戸に生まれ、京都にて没。
本名は関一。父は漢学者の橋本海関。
12歳の頃より四条派の片岡広嚝に学び、その後1903年に竹内栖鳳の画塾・竹杖会で学ぶ。1908年の文展に初入選。その後も連年の受賞を重ね、1919年の帝展より審査員を歴任。中国古典に精通していたことでも知られ、中国・日本の古画を研究。南画・四条派の技法に古典研究の成果を加え、独自の画境を切り開いた。1940年には京都建仁寺の方丈襖絵60面を完成させた。

橋本関雪《田家夏夕図》1935年頃、山王美術館蔵

田家夏夕図

1935年頃
絹本彩色
58.2×71.6㎝

Summer Evening in the Village

c1935
Color on silk
58.2×71.6㎝

本作では平凡な夏の夕刻の情景が南画の技法で描かれています。餌を待ち望む馬、炊事場の方に急ぐアヒル、かまどからモウモウと立ち上がる煙と見え隠れする半月、そうした生活感あふれるモティーフが、薄墨と淡彩によるほんのりとした空気感のなかに捉えられています。人影のないことが一層、人里の雰囲気を濃厚に醸し出しているようです。数多くの動物画を描いた関雪ですが、大小の動物に寄せられる画家の目は決して写実のみを追ったものではなく、情感のこもったものでした。この作品が描かれた頃から晩年にかけてますます動物画が多くなりますが、関雪にとって動物を描くことは、結局は人間を描くことに近かったのかもしれません。