山王美術館

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金山 平三 Kanayama Heizo
1883-1964

神戸に生まれ、東京にて没。
東京美術学校(現・東京藝術大学)に入学、黒田清輝、藤島武二らに師事する。1909年に首席で卒業後、同校にて教鞭につく。1912年渡欧。1915年に帰国するまでの間、パリを拠点にヨーロッパ各地を訪れ、精力的な制作活動を重ねる。帰国後、文展に初出品し特選。翌年もまた特選となり注目を集め、36歳にして帝展審査員に選ばれる。文展・帝展にて活躍したが、1935年の帝展改組を機に中央画壇から距離をおく。以降、日本各地への写生旅行を重ね、日本の気候と風土に根ざした風景を、卓越した技法で描き続けた。叙位、叙勲をすべて辞退し、絵を描くことだけに人生を捧げた、まさに孤高の画家といえる。

金山平三《花》1926年頃、山王美術館蔵

1926年頃
油彩、カンヴァス
65.5×53.0㎝

Flowers

c1926
Oil on canvas
65.5×53.0㎝

漆黒の背景に浮かびあがる瓶花の静物。洋画家・大野隆徳は「只管(ひたすら)対象の真質を尊び讃美する人」と金山を評していますが、掠れるような独自のタッチによる緑をおびた花の白、やわらかな花弁が重なりあう多様な白、硬質で青味がかった磁器の白と、鋭敏な感覚で捉えた色調と質感が巧みに描き分けられ、清浄かつ澄明な空気感と相まって、生命の内に宿る輝きまでもが表現されているかのようです。