山王美術館

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フェルナン・レジェ Fernand Léger
1881-1955

フランス アルジャンタンに生まれ、ジフ=シュル=イヴェットにて没。
幼少期に父を亡くし10代より建築家のもとで奉公する。兵役後の1903年パリの装飾美術学校に入学。その傍ら画塾アカデミー・ジュリアンにも学ぶ。1907年に開催されたポール・セザンヌの回顧展に感銘を受け、1910年頃にキュビスムのグループ「セクシオン・ドール(黄金分割)」のメンバーとなる。1914年から1917年まで第一次世界大戦に従軍。除隊後は機械文明のダイナミズムにひかれた力強い造形性による作品を生み出した。さらに、壁画、ステンドグラス、タペストリー、映画、舞台美術と多彩に手がけた。

フェルナン・レジェ《井戸の縁石》1949年、山王美術館蔵

井戸の縁石

1949年
油彩、カンヴァス
54.3×45.5㎝

Well Curb

1949
Oil on canvas
54.3×45.5㎝

大きな緑の樹木を中心に、滑車のようなものとチェーン、バケツ、井戸の縁石がつながって配置され、右奥には黒い直線で機械あるいは構造物の一部とも思えるものが描かれています。井戸端という設定や、樹木とそこから勢いよく伸びる若枝などから、生命体が基調になっていることが感じられますが、一方で黒の無機的な直線は機械文明の象徴のようにも見えます。新しいものと古いもの、自然と人工、機械と労働、そうした一見相いれないさまざまなものが調和した社会を願う絵なのでしょうか。