山王美術館

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ジャン=バティスト=カミーユ・コロー Jean-Baptiste-Camille Corot
1796-1875

パリに生まれ、同地にて没。
新古典主義の風景画家であるアシル=エトナ・ミシャロン、ついでジャン=ヴィクトール・ベルタンに師事する。ミシャロンからは入念な自然観察に基づき表現する姿勢を学ぶとともに、フォンテーヌブローの森へも導かれた。1825年から3年間イタリアを訪れる。帰国後はフランス各地への写生旅行をくりかえした。はじめは実景にもとづく堅牢で明快な形態による風景画を描いたが、1850年頃より作風が変化し、銀灰色の色調による叙情性ゆたかな作品へと移行、人気を博した。実景の観察を追求する一方で、画家個人の感動や感覚を重視した制作姿勢により、19世紀フランス美術の潮流である新古典主義から印象主義にいたる多様な特徴を内包すると評された。

ジャン=バティスト=カミーユ・コロー《ロニー=シュル=セーヌ、牧草地の牛と牛飼い》1841年、山王美術館蔵

ロニー=シュル=セーヌ、牧草地の牛と牛飼い

1841年
油彩、カンヴァス
24.3×32.8㎝

Rosny-sur-Seine. Cow and the Guardian in the Pasture

1841
Oil on canvas
24.3×32.8㎝

コローは前景の薄暗い木陰道に対して、陽光のもとに展開する牧草地と町並みを中景と遠景に配することで、光と影の効果を強調しています。また牛飼いの少女と牛が佇むあたりで緩やかにカーブする木陰道と、木立の間にひろがる空が対称をなす構図をとり、開放的な左画面に対して、右画面を緊密に構成しています。さらに全体の調和を図るかのように、赤色からオレンジへと変化する色彩が、少女の頭部、農婦の上着、建物の屋根と、画面の手前から奥へと配され、より一層の奥行き感をもたらしています。