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展覧会のご案内

山王美術館 春・夏季コレクション展202 赤・黄・緑・青・黒。色でたのしむアートの世界。ARTいろいろ展

期間
2020年32日(月)~731日(金)
開館日
毎週 月曜日~金曜日
(月~金曜日の祝日は開館)
開館時間
11時~17時(最終入館 16時30分まで)
入館料
一般1,000
大学・高校生500
小・中学生500円(保護者同伴に限り2名様まで無料)
※学生証をご提示ください。
※受付にてチケットを販売しております。
会場
山王美術館 ホテルモントレグラスミア大阪 22階 〒556-0017 大阪市浪速区湊町1-2-3 
お問い合せ
TEL 06-6645-7111(代表)

赤・黄・緑・青・黒。色でたのしむアートの世界。ARTいろいろ展 ―出品リスト

絵画を構成する要素といえば、描かれた主題、明暗表現、線描、色彩、構図と、さまざまにありますが、なかでも「色彩」は、絵画の印象を大きく左右する要素の一つだといえます。色彩は物のかたちを再現するためだけではなく、光や大気などの自然現象や、画家自身の感情を表現する手法としても用いられてきました。絵画とは、画家のまなざしと感性によりとらえた世界を、視覚化したものといえるかもしれません。だからこそ、画家たちは自身の世界を表現するにふさわしい色彩法を求めて、研究し続けたのです。
本展では、「赤」「黄」「緑」「青」「黒」の5色をテーマにコレクションを展示いたします。色彩ごとに構成することで、画材による見え方のちがい、色彩同士のバランスや効果など、絵画と色彩の関係性がより鮮明に浮かびあがります。色彩と色彩がひびきあう、豊かな絵画の世界を、ぜひお楽しみください。

  • ピエール=オーギュスト・ルノワール≪読書(赤とローズのブラウスを着た二人の女性)≫1918年、山王美術館蔵

    ピエール=オーギュスト・ルノワール
    ≪読書(赤とローズのブラウスを着た二人の女性)≫1918年
    山王美術館蔵

    林武≪薔薇≫、山王美術館蔵

    林武
    ≪薔薇≫
    山王美術館蔵

  • 赤|Red

    「赤」は世界各地で原始時代より用いられてきた色で、今から7万年前のネアンデルタール人たちは、死者を埋葬した墓所に赤い顔料をまいていたといわれています。また、色彩を表わす語としても古くからあり、色彩語の進化についての研究(1969年)によると、白色と黒色についで「赤」を意味する言葉が加わるそうです。古代日本における「アカ」は、日の出とともに赤々と明けていくさまを表わす「明(あ)かし」が語源であるといい、平安時代以前には黄色もその範囲にふくみ、やがて緋色や紅色の総称として用いられるようになったと考えられています。漢字の「赤」は「大」と「火」の組み合わせによるもので、大いにもえる火の色を表わしており、日本をはじめ、韓国、中国では、太陽を象徴する色としても用いられてきました。一方、英語の「Red」は古いサンスクリット語に由来し、「血のような」という意味を語源としています。神社の鳥居にみられる朱色をはじめ、赤い絵の具はさまざまな種類があります。ルノワールは、赤を基調にローズ色や黄色など暖色系の色彩を用いることで、画面を温もりのあるものにしています。

  • モイーズ・キスリング≪ミモザとパンジー≫1937年、山王美術館蔵

    モイーズ・キスリング
    ≪ミモザとパンジー≫1937年
    山王美術館蔵

    横山大観≪不二霊峰≫1937年頃、山王美術館蔵

    横山大観
    ≪不二霊峰≫1937年頃
    山王美術館蔵

  • 黄色|Yellow

    日本語で独立した色彩語として「黄」が用いられるようになったのは、平安時代以降のこと。それまでは赤から黄色の色合いをふくむ範疇を赤のカテゴリーとしていました。漢字の「黄」は、上が光をあらわす「炗(こう)」の略体で、下は火矢の形を描いたもの。転じて火矢の黄色い光を表わしています。一方、英語の「Yellow」は、萌出る葉の色を指しており、緑のカテゴリーを共有していたといいます。日本では太陽を赤で表現することが多いですが、多くの民族では太陽を象徴する色として黄色が用いられるそうです。色彩の関係を効果的に用いているのがキスリングです。黄色のミモザに対し、補色の関係にある紫色のパンジーを対比させ、さらに背景には反対色にあたる青を配色することで、ミモザの花色の鮮やかさをより一層際立たせているのです。横山大観は光に包まれる雲海を金泥で表現することで、霊峰としての富士をより神聖なものとして描いています。

  • アルフレッド・シスレー≪オルヴァンヌ川にかかる小さな橋≫1890年、山王美術館蔵

    アルフレッド・シスレー
    ≪オルヴァンヌ川にかかる小さな橋≫1890年
    山王美術館蔵

    東山魁夷≪爽晨≫1957-1962年、山王美術館蔵

    東山魁夷
    ≪爽晨≫1957-1962年
    山王美術館蔵

  • 緑|Green

    「アカ・クロ・シロ・アオ」の色名を用いていた古代日本では、緑と青の明確な区分がなかったと考えられ、平安期以前は「アオ」が青い色のほかに緑、灰色や薄い色を表わしていました。一面緑色の田の様子を「青々した」と表現することや、青葉や青信号という言葉に、その名残がみられます。日本語の「みどり」は、「みど」を語源とし、「瑞々(みずみずし)」との関係を指摘されています。転じて新芽や若枝をさすようになり、やがて色を表わす言葉として使用されるようになったといわれます。漢字の綠(緑)のつくり「彔(ろく)」は竹や木の皮をはいだときに皮が点々と散るさまを表わしており、糸へんと組み合わせて、皮をはいだ青竹のようなみどり色に染めた糸を示しています。一方、英名の「Green」の「Gr」は「Grass(草)」や「Grow(成長する)」と関連し、萌出る草の色の意味に由来するそうです。緑色を代表する絵具に、「緑青(ろくしょう)」がありますが、天然の孔雀石から作られたもので、日本画に欠かせない顔料として古くより珍重されます。また古代エジプトでは目の周りの化粧にも用いられました。粒子が細かいものほど白っぽくなり、加熱することで深緑から、黒色になります。東山魁夷の作品に粒子による濃淡の違いを見ることができます。

  • 上村松園≪よそおひ≫1949年、山王美術館蔵

    上村松園
    ≪よそおひ≫1949年
    山王美術館蔵

    アルフレッド・シスレー≪サン・マメスの堰堤のある風景≫1885年、山王美術館蔵

    アルフレッド・シスレー
    ≪サン・マメスの堰堤のある風景≫1885年
    山王美術館蔵

  • 青|Blue

    日本では、古くより用いられた色彩語のひとつで、その語源「アヲ(オ)」は、はっきりとしない漠然としたという意の「漠し(あをし)」とする説や、染料の「藍」とする説など、諸説あります。漢字の「靑(青)」は、上があおい草の芽生えを表わす「生(せい)」で、下が井戸の中に清水がたまったさまを表わす「丼(せい)」から成り、あお草や清水のすみきった色をさします。古くは目立たぬ色を表わす言葉でもあったため、灰色も含まれており、日本では青から緑の範囲を含めたカテゴリーの総称として、しばしば用いられてきました。英語の「Blue」は、青空のような青色をさします。青色の絵具として、日本画で欠かすことができない色といえば、藍銅鉱(アズライト)からつくられた「群青(ぐんじょう)」があります。群青の着物と、緋色の帯という洗練された色彩による気高く美しい女性像。着物越しに透けて見える朱色に、上村松園の女性としてのこだわりが感じられます。

  • 佐伯祐三≪オプセルヴァトワール附近≫1927年、山王美術館蔵

    佐伯祐三
    ≪オプセルヴァトワール附近≫1927年
    山王美術館蔵

    横山大観≪寒山幽香≫1951-1952年頃、山王美術館蔵

    横山大観
    ≪寒山幽香≫1951-1952年頃
    山王美術館蔵

  • 黒|Black

    すべての言語において白色と黒色をあらわす色名があるとされますが、原始の段階では、緑も青も茶も黒の領域だったといいます。古代日本語の「クロ」は、「暗(あん)」に由来するとされ、太陽が沈んだのちの闇の色を表わすといいます。また、水底にしずんだ黒い土をあらわす「涅(くり)」と同源とする説もあります。漢字の「黑(黒)」は、下部は火を、上部は煙突に点々と煤のついたさまを表わしています。一方、英語の「Black」は、文献内にもっともはやく確認できる基本色彩語で、古い形のBlœc、blacは漢字と同様に、もともとは「煤で黒くなった」という意味であり、古英語ではインクを表わすそうです。日本画で用いられる黒といえば、煤を膠で練り固めてつくられた「墨」。油絵具の「アイヴォリーブラック」は、紀元前350年ごろに象牙を焼いたものが起源とされます。8世紀ごろの中国で発達したのが、墨一色の濃淡により描く水墨画です。「墨に五彩あり」として、すべての色彩を墨一色で表現する水墨画は、わが国にも禅宗とともに伝来しました。横山大観は抒情的な雪景色を墨の濃淡により表現しています。